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目の前の女性はクスリと笑い三人に挨拶をする。
「初めまして。貴方達のスポンサーの《氷野 雪》です。」
色白のきめ細やかな肌。小顔のシャープな輪郭。大きめの少し切れ長の穏やかな目。鼻筋はスッと通り、色気のあるぷっくりとした唇。
彼女は聖月に良く似ていた。
「え?姉弟??」
「姉居たけど2年前くらいに自殺した。」
「そんなさらりと言わない!」
2年前の新聞に載っていた自殺と断定された女子高生。あれは、聖月の姉だったと思われる。
それを他人事の様に言ってのけるが、仲が悪いのだろうか。
「…裕司?」
先程から何も話さない裕司が気になって仁と聖月は何気に顔を覗く。
「………………。」
「………………。」
二人は何も言わず、まるで「見なかった事にしよう。」とでも言うように顔をそらした。
思いのほか裕司の顔が赤かったのだ。
まるで初恋と再会した少年の様になっている相棒を見て仁はなんとも言いようがない表情を浮かべた。
「裕司君よね?」
「は、はい!」
「いつも電話越しだったから、会えて嬉しいわ。」
そう言って微笑む雪に祐司は更に顔を赤くし、右手で顔を覆った。
「…可愛いすぎる…。」
「…聖月とどう違うんだ?顔似てんじゃん…。」
「…知らねぇよ。」
裕司の反応に呆れ顔の仁と聖月だった。
顔で言っているのなら聖月も対象に入るのではないのかと仁は思う。
「そこのクソ餓鬼と一緒にすんじゃねぇ…。」
「…さいですか‥。」
完全にフィルターがかかっている裕司に何を言っても無駄だと感じた仁は早々に諦めた。
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