6人が本棚に入れています
本棚に追加
とある街道沿いに老婆と若く美しい娘が二人で住んでいた。
時に雨に降られ、又、時には星も見えぬ闇夜に包まれて
宿場町へ辿り着けない者が、その一夜の平和な睡眠を願って
姥と娘の家に、一夜の宿を願う事が度々あった。
旅人に魚心あれば水心というばかりではない。
氷水をバケツで被ろうとも、被らなくとも
下心は仏心になることなどはない。
見た目で全てを判断するなど、身勝手の一つであると謂われる。
そうして、哀れな旅人が鬼婆たる姥に八つ裂きにされ、
マイナスドライバーで串刺しになったように、見るに耐えない
無残な骸になり身ぐるみ剥がされて、家の横の池へ沈められる。
これは業の故なるか。
とある日。姥の行いを咎める事、言葉では適わず。
ある旅人が連れた、乳飲み子の床に入れ替わって
娘が自ら、姥の惨殺の犠牲になる。
深夜に乳飲み子と共に、娘の手引きで脱出した親は
その後をしらぬ。
姥は可哀想な娘を抱いて、家の横の池に身を沈めたという。
これは東京の浅草、花川戸公園に碑がある。
水に鎮め戸を〆て、花ありける事なり。
道々、気をつけなされ。
最初のコメントを投稿しよう!