第1話～町案内編～

あゆむ

目的地に到着するとあゆむとおぼしき人物の姿があった。帽子、シャツにベスト、ジーンズ、くるぶしソックス、そしてスニーカーと至ってシンプルだ。メールで送られてきた服装と相違がないことを確認すると、悠姫はあゆむのもとへ近寄った。
「ごめん、待った？」
デートでは定番の言葉だが、初対面にしては軽かったかもしれない。いや、寧ろ遅刻したことをもっと真摯に謝るべきだろう。悠姫は言葉を探す。