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「おっちゃーん! ブツ持って来たで~!」
そのころ、窓一つない無機質な部屋に、刹那の声が響き渡っていた。蛍光灯の光の下で、コンピューターに向かっていた人々が何事かと顔をあげる。
「おお!刹那君に烱君!やっと来てくれたのか! No.31、ミストポイズン。待ちかねたぞ~。二人ともようやった!」
その中の一人がぱっと満面の笑みを浮かべ、大声で叫びながらこちらへと歩みよって来た。白衣を着た初老の男性。少し肥満気味なのだが、動作自体は軽やかだ。
No.31とは昨夜二人が盗ってきたサファイアのこと。この宝石は《悪魔の方程式》の一つ。そう、二人は《悪魔》を葬るための活動をする組織に属しているのだ。
組織名は《悪魔祓い研究所》。一人で騒ぐこの男を所長とし、研究員三名、実動員二名、実働後方支援員五名の小さな組織だ。ふざけたネーミングはともかく、活動内容はかなり危険を伴う。
今回、《悪魔》を所有していたのがただの成金だったから良かったが、裏社会で生きる者が所有者ということもあった。それに何より、《悪魔》を収集しているのはここだけではない。故に、この《研究所》も厳重なセキュリティに守られている。
まず、この《研究所》があるのは地下、およそ800m。
とある山中にある、完全会員制のリゾートホテルを唯一の出入り口とし、万が一にも周囲の土中から進入できぬよう、10mもある分厚い特殊合金の壁に囲まれているのだ。
また、この組織はとある組織の一部署なのだが、詳しいことは二人には知らされていない。時々、研究所へ他部署の人が来るくらいで仕事上は交流がないからだ。
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