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意味ありげなことを言う晋太郎を前に少し考えたが時間の無駄を感じた暁は颯爽と走っていった。
その後ろ姿を晋太郎は涙を流し見つめたのであった。
「暁様、あなたの父上も母上も事故などでは御座いません。有馬」
木の上から飛び出してきて晋太郎の前で跪(ひざまづ)く男がまさしく有馬と呼ばれた主。
「はい」
「暁様にこの文を。私が危なくなったときこれを渡してくれ。それと、あの方を護ってくれ」
その言葉の意味を理解した有馬は1度晋太郎の顔を見て分かりましたと呟き消えた。
「暁様、あなたはずっと気高く、そして清く美しくあってくださいませ。私もできることならずっと御側でお仕えし等ございました」
その声は誰にも届くことなくただ風が運んでいった。
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