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この姿であまり走り回るものでもないようね。走りにくいし、何よりつこけてしまったらもともこもないものね。
「あら、お嬢様ではないですか。そうそう、これ渡に行こうとおもってたところだったんですよ」
手のなかを見ると、そこには青い宝石が埋め込まれたバングルだった
「きれ、い。でも、一体誰が?」
「晋太郎さんですよ、お金だけ払ってどっかいっちまったみたいだから、丁度よかったです」
晋太郎が、私に?後で礼を言わないと。宝石店の店主に挨拶をして師範代の元へと向かう。
「早速はめてみたけど、私が青色が好きだとちゃんと知っていてくれたのね。それにこれってサファイアよね、大事にしなくては」
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そしてここに二人の男がただならぬオーラをだしながら、口論していた。
「なぜ、なぜ貴様がここにっ!暁はここへは来ぬぞ」
「知っておる、ただなお前が邪魔になっただけのことよ。儂の邪魔になる奴は消すだけのこと。儂はこれから日本を強くせねばならぬ。戦争を再びこの地に起こす」
ここは道場である。一人の若き男と年を取った男が一人。話している内容はとても穏やかなものではない。
「だから、暁の実の親二人を殺めたと言うのか?」
「だからなんだと言うのだ。もはや、暁も用済。お主を消したらあとは暁だけじゃ」
暁だけだと?晋太郎、は?もしかして。顔をあげた瞬間に感じる痛み。流れる赤色は己の血であると確認できた途端に崩れるからだ。
「晋太郎は、ど、こだっ」
痛みに耐えながらも声を発するがかすれかすれであった
「はて、とっくに死んだ者の事など等に忘れたわい。せいぜい苦しんで死ぬことじゃ」
老人はそう笑いながら道場を後にした。
その10分後のことである、暁がこの道場を訪ねてきたのは。
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