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「先生、先生。先生おられないのですか?おかしいわね、いつもは居るのに」
でもなんだかモヤモヤする。
それにこの臭い…臭い?もしかしてっ!走る私をいつもの先生がみたら多分きっと怒るだろうな。
ねぇ、先生この勘があたらないことを祈るよ。
私が足を踏み入れたさきに見える者。血黙りの中には私の見知った先生が倒れているのが見えた。
堪えず駆け寄る私に気付いたのか、先生が何かを伝えようとしているのが分かった。
「あき…ら、、し、たろ、が…ガハッ」
血を吐き出す先生にどうしたらいいのか分からない私はただ涙を流すしかなかった。
「先生、お願いだからもう話さないで下さい。お医者様を、っ!」
お医者様を呼ぼうと立ち上がった時に先生は首を横に振った。先生はこうなったことの次第を話してくれた。
痛いはずなのに、苦しいはずなのに。
「まだ、お前に何も…あげて…ぃね。今の時代これは、役には、、立たぬが…お前に…ガハッ…おめ、でと、う」
「せん、せい?」
先生は私の生涯の先生にてございます。この刀を譲り受けたこと、誠に有りがたき幸せ。
先生の傷を見るからにして拳銃であることに違いないはず。
先生この刀形見として大切に致します。
いつか叔父上は教えてくださった。
拳銃の扱い方を。ここでそれが役に立つことがくるなんてね。
晋太郎、どうかご無事で、道場を出たところで見知ったかおが一人でてきた。そこには血を流す有馬がいた。
「有馬!その傷は誰にっ!まさか叔父上か、」
「暁様どうかこれを、晋太郎殿からの文にて御座いま…」
有馬までもが殺られるなんて…叔父上許しません。貴方はやはり自分に傲りすぎております。誰かが止めねばならない。その役目は私が果たします。
「文など開かなくとも晋太郎の考えていることなんて分かっているのだから。まだお礼いえてないのに、私の前から勝手に一人で逝くなんて、執事失格よ。ありがとう、父上、母上これから私は叔父上を打ちます。どうかお許しくださいませ。こんな私を育ててくださりありがとうございました」
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