俺様

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****************** 「おい!何でそこで落とすんだよ、この下手くそ!」 結局。 鷹雄は俺の意見を聞き入れ、UFOキャッチャーをしている。 本当、押しに弱いな鷹雄クンよ。 面倒見が良いっつーか、何つーか。 この厳つい外面と違って、中身はそんなだから、ギャップ萌えする奴はいるだろう。 まぁ。 こいつに近付く事が出来てからの話、だけど。 どこまでもドライなくせに、どこまでも人情味に溢れている。 なんて。 そんな矛盾の塊は、俺の好奇心を度々刺激して来る。 「退けよ、この負け犬。王様の力を見せてやる。」 「てめぇな、俺より下手くそなくせに、取れんのかよ。」 苛立つ鷹雄を押し退け、俺は機械に百円玉を入れた。 ボタンを押し、自分の思う位置までクレーンを動かす。 よし。 横は、成功だ。 お次は、縦っと。 再びボタンを押し、自分の直感が働く所まで、クレーンを動かす。 「きた!うらぁ!」 大きな赤いボタンを押した途端、クレーンが下へ下がり始めた。 何かのテレビのキャラクター目掛けて、クレーンは真っ直ぐに下りて行く。 が。 「ぁあ!?」 クレーンの先は、スカッと空を切り、何の収穫もなく元の位置へ戻って行った。 「…………口だけ番長。」 ボソリと呟く鷹雄に、俺は思い切り腕を振りかぶる。 もちろん、本気で殴る為、だ。 「ぅ、お!?」 ブオッと空気が振動する音が響き、鷹雄がギリギリで避けた事を悟る。 「っぶねーな!」 「避けんじゃねーよ!」 大きな怒鳴り声が店内に響き、騒然とし始めた周りでは、 喧嘩が始まったと思った奴らが、恐怖や好奇心に色を染めて俺達を見ていた。
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