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「何度言ったら分かるの?」
低く囁くように話す、その声は。
顔を見なくても分かるほど、怒りを帯びていた。
面倒臭ぇな、また説教かよ。
そんな事を考えていると、不意に顎へ指先が触れる。
そのまま顔を引き上げられ、自然と視線を移したその先に。
「…………いい加減、お仕置きが必要みたいだね。」
今まで以上に冷たく、威圧感のある目が、俺を突き刺すように見ていた。
やべ。
一瞬だけ、そんな事を、考える。
そして。
その言葉を最後に、俺達の間から発せられる言葉が、なくなった。
あるのは、ただ。
唇に触れる、柔らかい感触だけだ。
あーぁ……。
俺は心の中で、溜息をこぼした。
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