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夏休みが始まった。
うだる程の暑さに、どこにも出かける気にならねぇ。
エアコンをガンガンに効かせて、部屋にこもりながらずっとゲームをしていた。
スーパーマリオから始まり、シューティングやRPG、あらゆる物に手を出して。
飽きた。
つまんねぇ。
兄弟もいねぇ俺には、家の中で遊ぶ相手がいない。
父親はIT会社の社長で、けれど毎日のようにちゃんと家に帰って来る。
母親を溺愛していて、いい年になった今でも、休み前には二人で飲みに行ったり休日デートしたり。
とにかくアホみてぇに仲のいい奴らだから、
俺ははっきり言って、あの輪には混ざりたくない。
俺のことも溺愛しているらしく、関わったら面倒だってのもある。
だから、俺は家では一人でいる。
退屈だ。
めちゃめちゃ、退屈。
こういう時は、いつもと違う事をするに限る。
女と遊ぶ?
喧嘩する?
それはいつもと、一緒。
旅行だろ。
避暑地だろ。
せっかくの夏休み、大いに楽しまねぇと損。
よし。
あいつら拉致って、伊豆の別荘でも行くか。
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