第3章

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「俺は魔王は悪者ではないという前提で会いに行こうと思っています。でも勇者たちは魔王を倒そうとしている。魔族は人間なんかを相手にしないとはいえ、自分たちの王様が殺されるとなれば応戦してきますよね。ウラヌ大陸は数百年に一度、大規模な戦争が起こるようなものです。これに意味はあるのでしょうか」 隣でメイが息をのんだのが分かった。 私には勇者や魔王のことはよく分からないので大した感想は持てないけど、コウがこんなにしゃべるなんて、と思う。 私が質問したことにはきちんと答えてくれるコウだけど、自分からこんなにしゃべるなんて。 でもコウが物知りなのはもしかしたらこういうところがあるからなのかもしれない。 自分の知らないことに対しては貪欲に話を聞こうとするみたいなところがあるのかも。 今までコウより物知りな人に会ったことなんてなかったから分からなかったけど。 コウは淡々としゃべるからこの勇者制度に関して、否定的な意見を持っているから聞いているのかはよく分からない。 言葉だけを取れば否定的に聞こえる。 でもコウなら本当に純粋に勇者制度について疑問を持っているだけかもとも思える。 さっき出会ったばかりのティアルドさんがどう思うかは分からないけれど、目を少し細めてふぅと息を吐いた。
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