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「それに関しては僕から言えることは少ないね。どう思うかと聞かれれば『意味がないわけではない』としか答えられない」
コウは無言で続きを促すかのように黒い瞳を見つめている。
「現に魔王を倒すと魔物の襲撃が止むのだから。襲撃によって家族を失った者、恐怖を実際に体感した者は勇者の後押しを止めることはないだろうし。どうしても勇者について気になるならそれを研究している学者を紹介するけど」
ティアルドさんは紙とペンを取り出した。
「これは勇者について研究しているマグリアという学者の光話番号。僕の名前を出せば話くらいは聞いてくれると思うよ。光話するかどうかは君たちに任せるけど」
「・・・ありがとうございます」
コウは紙を受け取ると席を立った。
「貴重なお話をありがとうございました。魔王退治とかぶらないかは心配ですが・・・何とかウラヌへ向かうことはできそうです」
メイが続いて立ち上がったので私も立ち上がるとティアルドさんにお辞儀をする。
「僕なんかの話で良ければ。ぜひウラヌに行ったら僕に報告をしてほしいな」
「もちろんです。お時間を頂いたお礼になるようでしたらいくらでもお話させていただきます」
コウがちらりとこちらを見る。
チップを持っているのは私だからだ。
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