第3章

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いつにない神妙な感じだ。 2人が会うのは難しいことなんだろうか・・・。 「絶対に会えるよ。どちみちいつかは戻らないといけないからね」 表情はいつもの無表情だけど、なんだか宥めるような、少し優しい言い方だった。 やっぱりコウもいいとこの貴族なんだろうか。 いつかは跡取りに帰らなければならないのだろうか。 メイは今までにない大人な表情で悲しそうに微笑んだ。 そして私の方をちらりと見る。 「まぁあなたのことはどうでもいいですけど、悪い人ではなかったわね。くれぐれもコウのことをよろしくお願いしますわよ」 ふんと鼻でも鳴らしたかのような物言いをするとくるりとメイは後ろを向いてしまった。 そのまま振り返ることなく立ち去る。 「俺達も行こうか」 少し悲しそうな声に、私はどこにとも聞けずこくりと頷いて、無言で彼の後ろをついて行くのだった。
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