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「え~新入生のみなさん、入学おめでとう。みなさんの入学を・・・」
どこかで聞いたことのあるような、校長の挨拶が始まった。
黒のスーツで決めているものの、それ故に白髪で少し薄くなった頭が目立ってしまい、生徒たちは笑いを堪えるのに必死になっているようだ。
私もそのうちの一人。
私の名前は、川崎 美凪(かわさき みなぎ)。
そして、私が高校3年間を過ごすこの学校の名は、私立翔聖学園高等学校。
今は入学式の真っ最中。
早く終わらないかな。
神奈川県内でも、進学校と称されるこの高校。
でも、それだけじゃない。
翔聖は、バレーボールの名門校。
去年こそ、女子が高校バレー3大大会(インターハイ・国体・春高)全てを制した。
中2くらいの時から、この高校に来たいとぼんやりと考えていた。
そして、去年。
中学のバレー部全員で見に行ったインターハイ。
白のライトに照らされたオレンジと青の決勝のセンターコート。
その中を、ボールを繋ごうと必死に走る選手たち。
一点一点、一つ一つのプレーを丁寧に行う姿勢、キラキラと光る汗。
家に帰ってからでも、興奮が抑えられなかった。
胸がドキドキして、全身が震えていた。
・・・翔聖でバレーをしたい
強く、そう思った。
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