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実は白無垢の人形は荒神で
姿見は和みの神だった。
白無垢の人形は元は夫婦人形だったが、婿の人形が傷んでしまい、昔に捨てられてしまった。
それを何代前かの娘が大切にしていたが、彼女は病気で若いまま、嫁ぐ前に死んでしまった。
白無垢に憧れた娘の想いと婿を失った人形の想いが、悪しき想いとして代々男の子の誕生を阻んでいた。
その汚れを浄めたのが、姿見だった。
娘達の成長を見守り、幸福をもたらそうと力が拮抗して、結果、何とか子宝には恵まれたのだ。
幸は勘の良い子だったから、荒神の人形を捨てて、姿見を取ったのだ。
苦労して運び込んだ姿見は幸の部屋の壁をかなり埋めたが、幸は幸せだった。
いつか…お婆ちゃんの様に私も白無垢姿をこの鏡に映したい…
九十九神の姿見はそっと微笑んだ。
まるで祖母が孫を見守る様に温かな空気が部屋を満たしていた。
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