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家をどうするかの話しはまだ決まらなかった様で、家族は車に乗り、長い時間を掛けて自宅に帰る。
もしあの家を手放すならば幸には形見で欲しい物が有ったが、両親のピリピリした空気に言い出せなかった。
それから数日経ったある日、お婆ちゃんのお家の辺りを豪雨が襲った。
山の麓に有る為に、心配していたが…
土砂崩れが起きて、家が被害に有ったと聞いて幸と両親は慌てて祖母の家に行った。
部分的に被害は免れたが、祖母の寝室は崩れてしまい、土砂に埋もれていた。
祖母の懐かしい香りすらうしなった幸は軍手をはめて、土砂の中から何か無事な物が無いか…泣きながら掘り出した。
母も父も泣いていた。
キラリと光る物を見付けて、幸は大声を挙げる。
姿見は埋もれていたが奇跡的にも割れてはいなかった。
それと人形、お面は無事だ。幸は泥を拭いわんわん泣いた。
良かった…私の愛したお婆ちゃんの物が残っている。
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