第二章 二回目の出会い

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しかしながら彼は大人気だ。 模試が近づいていてピリピリしていた空気が一瞬で崩れた。 クラスのみんなが思い思いの目で隣の彼を見ている。休み時間には隣のクラスからも見学者が現れる始末。 しかし、ほとんどのやつらが話しかけようとしない。 これは意外なことではない。 転校生の登場に浮足立ってはいるが、みんな目の前に大学受験という関門が控えている中、話しの種にはしてもそこまで深く関わる予定はないのだろう。 転校生も休み時間の度に苦笑いで辺りを見回している。 まるで動物園の人気者のようだ。 可哀相に。 こんな成績主義の学校に入学してきてしまったせいだ。 しかし例外もいる。 一時間目が終わった今日初めての休み時間。 転校生に歩み寄る女子生徒が二名。 矢島陽子(やじまようこ)と高橋花(たかはしはな)だ。 クラスのマドンナと眼鏡をかけた文学少女。この二人はうちのクラスでも異色の存在だ。 矢島は龍國高校唯一の全国レベルのテニス部にて、一年生にしてレギュラーを張っていた天才スポーツ少女だ。
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