第二章 二回目の出会い

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◆◆◆◆◆ 大雨の中、家に向かって歩いている。 傘もない。というかだんだん強くなっているこの状況で傘なんて意味をなさないだろう。 全身がびしょ濡れ。靴もぐちょぐちょ。 カッとなって飛び出してしまった過去の俺をぶん殴りたい。 そんなことよりなにより、 「…さっきのは完全に八つ当たりだよな。」 彼女が言ったことは正論だ。まったくの正論だ。 うらやむのは当然だろう。彼女の発言は正しい。 昔も今もよく言われる。「うらやましい」と。 しかし他人に俺のなにがわかる。俺の苦しみは俺にしかわからない。 よくドラマで落ち込んでいる人を慰めるシーンで、「気持ちはわかる。」ということを言うがあれほどひどい言葉はないと思う。 おまえに気持ちなんてわかるわけない。 わかるのは俺だけだ。
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