第一章 初めての出会い

6/10
前へ
/88ページ
次へ
最近は毎日こんなことばっかり考えている。 悩みを聞いてくれる人はいないし、話したくもない。 こんな情けない話聞かせられない。 昔優しかった姉貴も最近は見向きもしない。 愛想を尽かされたんだろうな。 俺は今日もこうやって自転車に乗って家から片道20分弱の高校に向かって漕いでいる。 俺が通っているのは、 私立龍國(りゅうこく)高校。 県内でも有数の進学校だ。名門大学への推薦もいくつもあって常に人気の高校だ。 毎年難関大学に何十人もの生徒を輩出している、昔から有名な名門校だ。 部活動は盛んではないが、一つ突出した成績を残しているのは硬式テニス部で、毎年全国大会まで進出している。 そして俺が龍國高校に向かって毎朝向かうのも今日で三年目に突入した。 今日は春休みが明け、三年初日。 何も無い平凡な一年が過ぎ、どうせ今年もなにもない。そんな一年が始まる。 どうやら担任は三年間変わらないしクラス替えもない。 今日も特に代わり映えのない一日だと。 この時はそう思っていた。
/88ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加