第一章 初めての出会い

7/10
前へ
/88ページ
次へ
◆◆◆◆◆ 「…葛城信也。」 「はい。」 朝の点呼。 立ち上がって、返事をして、座る。 もう作業的にやっている。無気力で返事。 「…高橋花。」 「…は、はい」 みんな似たようなもんだ。うちのクラスは学力だけを追い求めるやつらばかり。 推薦枠は限られてるから内申はそんなに気にしていないのだろう。 「…矢島陽子。」 「はいっ!!」 …一部例外も居るが。 そういえばこうやって淡々と呼名している我が三年E組の担任。 名前は荒木隆一(あらきりゅういち)。 三年連続この男。 メガネをかけて髪をオールバックにきめている、いかついオッサン。 歳は恐らく40歳くらい。教科は社会。 自分の生徒を良い大学に入れて自分の内申を上げる。それしか興味のない男だ。 それゆえ支持者は少ない。 もちろんこの俺もやつのことは好きではない。確かに授業はわかりやすい…それは認める。 ただ成績しか気にしないところが嫌いだ。だからと言って干渉して欲しいわけではないが。
/88ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加