4人が本棚に入れています
本棚に追加
「よし。全員出席だな。もう知っているやつもいると思うが、今日は転校生を紹介する。入れ。」
朝にいつもと違う雰囲気でざわざわしていた理由はこれだったのか、と合点がいった。
え?俺はって?友達のいない俺は音楽を聞きながら参考書を眺めていたさ。
これが俺の毎朝のライフスタイル。
というか、転校生だって。
珍しすぎるだろう。なにかしら理由があるのか。というか、うちの編入試験はくそ難しいって噂だ。もしコネだったとしてもすごい頭脳の持ち主なのだろう。少し気になる…少しだけだ。
本当に少しだよ?
今まで読んでいた参考書を閉じて、顔を挙げ、窓際の一番後ろの席から少し首を伸ばす。
どんなやつなのか気になる。
ガラガラと音を立てて教室に入ってくる制服を着た男。
身長は…176センチの俺より高い。恐らく180オーバー。細身だが、しまった身体をしているのが制服越しでもわかる。顔は…イケメン。ワックスで立たせた短髪のそんなモデルみたいな男は緊張した面持ちで教卓のところまできて、こちらを向く。
女子がさわさわ囁くのが聞こえる。
…うるさい。
いや、それ以上に…むかむかしてきた。
この感じ…似ている。
「じゃあ、簡単に自己紹介をしなさい。」
「はい。堤翔真(つつみしょうま)です。東京の学校から転校してきました。まだわからないことだらけなので、色々と教えてくれると嬉しいです。よろしくお願いします!」
最初のコメントを投稿しよう!