第四章 難題

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堤が一通り話を終えると、有栖川さんが口を開いた。 「え、じゃあ、文化祭で結果を残さないと部活にならないどころか、同好会としても解散なんですか。」 「残念ながら、そういうことになるな。」 堤と事前に打ち合わせをしていたが、俺は「ほかの者にはこの事実を黙っていたほうがよい」という意見を主張した。 しかし堤は俺の意見に反対した。「事実を知ったうえで、一緒に活動してもらわないと意味がない」と。続けて、「きっかけはなんであれ、嘘をついてやらせるのはおかしいし、それじゃあよさこいを好きになってもらえないじゃん。」 そう話す堤に俺は首を縦に振った。 よさこいを好きになってほしい。 一緒に踊ってほしい。 よさこいの魅力を伝えたい。 打ち合わせをしている中で、堤のよさこい部を作りたいという思いが強く俺に伝わってきた。 だからこそ、俺は自分の考えを曲げた。 俺にはまだそんな強い想いはない。しかし堤といれば、俺にももしかしたらなにかに燃える熱い心がわかるようになるかもしれない。 そして兄貴が情熱を注いでいたよさこいに関わることで、兄貴がなにを考え、生きていたのか。 兄貴を知ることができるかもしれない。 「この話を聞いたうえで改めて聞くけれど、君たちはよさこいをやる気はあるか。なければ、今からでもやめてもらって構わない。」 彼女たちがやる気をもってよさこいに関わることが大切だ。それが堤目当てでもよい。ほかになにか目的があるならそれでもよい。俺だって、よさこいが好きだからやるわけではない。 大事なのは、自分で選んでもらうことだ。そうすれば、彼女たちの道はぶれにくくなる。
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