第四章 難題

25/29
前へ
/88ページ
次へ
彼女たちの選択によっては、俺たち二人しか残らなくなる。二人でなにができるのか。わからないが、なんとかやるしかない。 俺は厳しいことを言ったかもしれないが、願わくば、残ってくれることを祈る。 少しの静寂のあと、その答えが聞けた。 先陣を切ったのは、有栖川さんだった。 「やる気…あります。私はよさこいをやるためにここにきました。」 まずはひとり。 「わかった。ありがとう。有栖川さん。」 「あ、れいなって呼んでください。苗字は好きじゃないので。」 「おっけー。わかった。じゃあ、あとは…。」 ほか三人の視線が残った佐藤さんに集まる。 彼女の答えは果たして。 「え…あ…わ、わたしも、やります。」 佐藤さんはちらちら有栖川さんのほうを見ながら、小さくかぼそい声で自分の意志を示した。 これでここにいる全員がやることに。奇跡だ。 俺は安堵して、大きく息を吐いた。 初めはどうなるかと思ったが、とりあえずこの場で得られる最高の結果だ。
/88ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加