第1章

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 猫又は妖怪だ、化け物だと恐れの対象として伝わったのは、山に住む獣に人間が食われたという記録からだった。  それは約三メートルにもなる大きさで、到底猫とは思えない。  家猫が年老いて猫又となり、人を食うという言い伝えもあるが、果たして人に可愛がられた猫が人を襲うだろうか。  私はそうは思わない。  江戸時代当時は、三味線の素材に雌のネコの皮を多く用いていたという。  猫又は三味線を奏でて同族を哀れむ歌を歌っているという。  ならば猫又は、同族の仇を撃つために化けるのか。  それも違うと私は思う。
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