第1章

4/5
前へ
/5ページ
次へ
「おかあさん。私この子が欲しい!」 「ちゃんと育てられるの?」 「大丈夫だよ!」  私の娘は、猫を飼いたいという。  私の同族を飼いたいという。  ちゃんと育てられるの?  ちゃんと愛してあげられる?  嬉しそうに子猫を腕に包む娘を私は見下ろす。  育てられなかったら、その時は食べてあげるから。  老いた私を川に捨てた人間のように、食べてあげる。  育てられたらそれはそれ。  病気になることもあるし事故に遭うのかも知れない。  ただ、死んでしまうその時まで。  猫が自ら家を出るその時まで、可愛がってあげるだけ。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加