Ⅴ 募る嫉妬
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「ふうん、先生得意なの?」 つまらなそうに――それでも大人しくカウンターを出て。 和樹は向こう側からプチトマトをつまむ。 「まあね。ずっと一人暮らしだから」 「いろいろ作れる?」 「まあ一通りは」 「すごい」 高鳴る胸の内と全くそぐわない たわいない話。 本当は口内で小さなトマトを転がし 一心に赤いリンゴを撫でる艶めかしい指に 僕は釘づけだった。
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