Ⅴ 募る嫉妬

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「安心感があるんだって。落ち着いてて無茶なことしそうにないし、優しくて何でも許してくれる」 けして悪い言葉じゃない。 なのに和樹の口を通すとまるで おまえはつまらない男だと言われているみたいな気がする。 「理想的だな。本当の僕を分かってない」 思いのほか強い口調で否定して。 すぐにしまった――と思う。 「僕には分るよ。先生が危険な男だって」 赤い唇が綻んだ。 15歳の手の中で 僕はますますひどく踊らされている。
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