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翌日、電話をかけた。
昼間は仕事があって、べつの事業所で働いていたので、電話は夜になってからだった。残業があって、9時近かった。
『はい、もしもし……』
青年はすぐに通話に出てくれた。
「あの、人材サービス社の者です。先日は、ご利用ありがとうございました」
『ああ、ども』
電話の向こうで、戸惑っている様子だった。どうして電話がかかってきたのか訝っているのだ。しかもこんな時間に。
『実は、また利用しようと考えていたところだったんです』
青年は、セールスの電話だろうと先回りして、こちらの用件を聞く前にそう言った。
「そうですか。ではいつがよろしいですか?」
直接言って話そう、と思った。
『いつでもいいんです』
スケジュールはしばらく先まで空いていなかった。でも待ってはいられないと思った。
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