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わたしはメモを取り出し、ボールペンのノックを押して、言った。
「では、あさっての日曜日にしませんか?」
その日は、わたしの休日だった。
つまり、会社を通さず、あくまで個人的に会おうというのである。ビジネス抜きで。
『いいんですか、そんな早く? こないだはスケジュールが詰まってるって、3週間も待たされたけれど……』
「はい、いいんです」
『それはありがたい。実はディズニーランドにいっしょに行ってほしいんです。あれからずっとプランを考えてたんです』
電話の口で青年が息を弾ませているのがわかった。電子マネーカードを使う気でいるらしい。やはり、あれがリミットカードだということは知らないようである。
「わかりました。楽しみにしていますわ」
『じゃあ、日曜日の朝、正面ゲート前に8時に。早いですが、だいじょうぶですか?』
「いいです」
『ありがとうございます』
「こちらこそ」
『それじゃ――』
通話が切れた。
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