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こういう展開になるとは予想していなかった。ともかく、どのタイミングで告げるべきかを考えるに、ディズニーランドで遊び終わってからだろう。わたしはしかし、そのときのことを考えると落ち着けず、その夜はなかなか眠れなかった。
二日後の日曜日――。
わたしは早朝から電車に乗って舞浜駅に降り立った。時間は7時45分だった。
今回は仕事ではない。かといってレジャーかというと、そうでもない。
なんだか微妙な気持ちでここに来た。
駅を出ると、目の前にディズニーランドが広がっている。
しかし、芯から楽しめやしないだろうと、わたしは思っていた。
リミットカード。
あの青年が持っていた電子マネーカードは、まるで悪魔か死神のようだった。命と引き替えに、それまでの半年間の価値を金額にしたカード。血も涙もない非情なカードだ。
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