ショットバー

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「まさか――」 「母がそう言って、父が亡くなったあとに見せてくれた。カードが入っていた封筒といっしょに。わたしが大学の学費を気にしだしたときだった。母のパートだけで、大学の費用なんかまかなえないとわかっていたから」 「信じられないな……」 「わたしも。母の狂言かと思ったけれど、わざわざそんなことをする意味がないし」 「…………」  カレは黙った。考えを整理しているようだった。 「カードを受け取ったら、それから半年後には必ず死ぬけれど、逆にいえば、半年間は死なない」 「そうらしいわね」 「だからその時間は有意義にすごすことができるわけだよね……」 「父は、もしかしたら、奇跡が起きて病気が治るじゃないかって思ってたんだと思う。その望みが絶たれた以上、覚悟を決めたんだろって……」
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