ショットバー

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「レンタルフレンドを依頼してきたのよ。その人には、なにかを相談したり、気持ちを共有したりする人がいないということなの。それがどういう状況かわかるでしょ?」 「とはいっても、知らせてどうするんだ? それを知ったところで、死を避けることはできないんだろ? そんなことを急に言われたら、なにをしでかすかわからない」 「たぶん、そんなことをしない人にしか送られてこないんだと思う」 「それは仮定の話だ。それに一度きりしか会わない人に、そこまで思い詰めなくても」 「わたしは会っているの。たった1時間だけれど」 「…………」  カレは少し考え、会話を締めくくるように言った。 「もう、こたえは決まってるんだろ?」  わたしはカレを見つめる。  そうなのだ。わたしは迷っていたのだ、と気づいた。
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