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洗面所で真弓がうがいをしていると、
「おはようございます、真弓先輩!」
紀美子が元気よく声を掛けてきた。
「ぁぁおはようさん、紀美ちゃん」
「先輩、近頃なんだか元気ないですねぇ?」
「ガラガラガラァァ…………ぺっ
あ~~さっぱりしたがぁ。
分かるぅ紀美ちゃん」
「そりゃぁ分かりますよ、先輩の顔を見ればね。
先輩はすぐ表情に出てしまいますからね。
同郷の彼氏と喧嘩でもしたんですかぁ?」
紀美子は真弓を覗き込むようにして訊いていた。
「何よ覗いて……。
ふ~~っ喧嘩ならまだ増しじゃよ」
「増しぃ……分かった!
その同郷の彼氏に女が出来たんだ。……でしょう?」
おたおたする真弓は、
口元を拭こうとポケットからハンカチを取り出し、手に持った。
「紀美ちゃん、話題を変えるがね……」
「はい。どうやら図星のようですからね。
話題と言えばほらっ、先日のカラオケ屋の怪人。
あの、アッカンベ~~お尻ペンペンって奴」
「え、そのお尻ペンペンが、どげんしたがね」
それ以上におたおたしながら、
真弓は口元を拭き拭き尋ねていた。
「その怪人は女性でね……。
あれぇ~~真弓先輩どうしたんですか、その男性のハンカチは?」
「えっ、男のハンカチィ?
あららほんとだょ」
「真弓先輩、先輩も隅に置けませんよ~~っ。
それが彼氏との喧嘩の原因じゃ?」
真弓は何気なしにハンケチの匂いを嗅いでみた。
「クリーニング出したのにね。知らずのうちに洗われちゃったみたいじゃね。
じゃけんど、このハンケチいい匂いするがねぇ」
「もぉ、先輩お止しなさいょ……ん、どうしたのですか?
ぅわっ先輩っ!」
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