一社目 それでも俺は働かない

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そう、昨日までは普通に今まで通りの生活、自由奔放に部屋に引き篭もっていたんだ。 午前三時くらいまでネトゲして、十二時半まで寝て起きて飯食ってネトゲして、なのにだ、何故起きたら見知らぬ部屋にいるのだろうか。 「謎です、はい」 思った事を呟き、とりあえず寝ようと思い布団に潜ろうとしたその時。 「なんでそうなるんだッ!?」 怒声とともに謎の衝撃波が俺にぶち当たり、そのまま体を壁に叩きつけられた。 「おぉう……。レバーがぁ」 もうね、激痛ですよ。 気付いたら内臓と背中と頭と、早い話が全体痛い。 「いや、おかしいだろッ! なんで寝ようとしたッ!! どういう思考回路しているんだッ!?」 俺に追い打ちをかける様にさらなる怒声が俺に襲いかかる。 煩いなぁ。 「お嬢様、人は人だよ? いくら他人でも、いきなり否定するのは良くないと、俺は思うね」 のっそりと、ねっとりとした視線を声のした方に向け、うつ伏せになりながらそう言った。 「はあ? 働かない、バイトもしない、家事すらまともに出来ない。ただ、残飯をくらい寝るだけの豚に、人権なんてある訳ないだろ」 彼女は親の仇を見るかの様な、いや、生ゴミを見るかの様な視線を俺に向ける。 というか、貴女口悪過ぎるでしょう。 俺がげんなりとしていると、ポツリと。 「僕は男だ」 俺に聞こえるか聞こえないか位の音量で呟く様に、そう言うのだった。 「へぇー、そうなんだ。凄いね」 てかさ、やっぱりニートも人権は、いや、魔王じゃね? 魔王も同じじゃね? なるほどな、俺は魔王だったのか。
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