第5章

10/40
前へ
/40ページ
次へ
「うわー、ケンちゃん、久しぶりー、元気だったー?」 彼女は嬉しそうにケンちゃんに駆け寄ると、ケンちゃんの肩をバシっと叩く。 「おう、元気だよ、お前も元気そうだな」 「うん、元気だよ、てか、何年ぶりー」 ケンちゃんは俺と変わらないくらいの身長に見えるから、180センチ前後といったところだろうか。 「高校卒業して以来だから……、10年ぶりか」 黒のロンTの上にデニムベストを着ていて、ズボンは灰色のダメージジーンズを履いている。頭にはざっくり編みのニット帽を浅めに被っている。 「10年かー、そりゃケンちゃん老けるはずだわ」 随分奇抜なファッションだな。彼女と同級生には見えない。ファッションのせいか若く見える。 「おい、お前だって28だろ?三十路ばばーじゃん」 「ぷ、失礼ねー、あはは」 弾丸のよう切れ間なく続く会話のやり取りを呆然と見ていると、ケンちゃんがハッとしてこちらを見た。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

222人が本棚に入れています
本棚に追加