第5章

7/40
前へ
/40ページ
次へ
「ああ、あいつは結婚したし、それから連絡もなけりゃ会ってもいないよ」 小さな嘘をついた。 「そう、ならいいけど……って、私が言うのもおかしな話だけど、あの人はあなたの人生を弄んでいるようにしか見えなかったから」 心配そうに張り詰めた眼差しで言う彼女に、 「ああ、もう亜美とは関わることはないよ」 と、笑顔で返した。 この間、渡瀬と飲んでいる時に偶然亜美に会ったが、そのことは彼女には言わなかった。亜美の名刺も捨てたし、言う必要もないと思ったから。 彼女は愛莉から亜美の話を聞いているのだろう。だから、亜美に対して良い印象がないのだろう。 そんなやり取りをしていると、目的地である新宿に到着した。 適当に空いているパーキングに車を止めた。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

222人が本棚に入れています
本棚に追加