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 川沿いに桜の老木が咲き誇っている。 町を急ぐ人も桜を見ると、立ち止まり桜の老木を見上げる。  ああ春だなと、泉之雪舟斎は俳階を書く手を止め、しばし見ていた。  それにしても、俳諧の世界には飽き飽きする。せっかく新しい『俳諧の句』と云う新たな句を編み出したのに。と、思う泉之だった。  俳諧の世界はどうでもよい。早速、俳句を諳んじようとする泉之だった。 「春なのに 枝垂れ桜が 謙遜す」  枝垂れ桜を見習って欲しい泉之であった。
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