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横断歩道を渡った先には小さな公園があって、そこに植わった桜の木は毎年綺麗な花を咲かす。
そして新学期となる今日に相応しく、満開に咲き乱れる桜の木の下には
一人の男子高校生が立っていた。
こちらに背を向けているため、表情は読めない。
だけど。
まるで愛おしいものに手を伸ばすかのように
そいつは桜の花に触れる。
一面が桃色に染まる中で
その黒い髪の色が
なんだか不釣り合いに見えて。
でも桜に手を伸ばす仕草が、桜と溶け合っているかのように見えて。
そいつはゆっくりと上を見上げたようだった。
桜全体を見回し、軽く頷く。
なんでだろう、表情は見えないのに。
そいつが笑っているんだろなって感じた。
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