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「父さんっ、ちゃんと起こしてくれよ、寝坊しちゃったじゃん!!」
取りあえず制服に着替え、適当に髪をセットし、階段をバタバタと駆け降りる。
キッチンを覗き、作業をしている父さんに文句の言葉を投げかけると
「うーん、3回起こしたんだけどね、正紀があんまりにも気持ちよさそうに寝てるものだから」
優男、という表現がぴったり当てはまる風貌をしている父さんは物腰も柔らかい。
悪いのは俺で、完全な八つ当たりであるにもかかわらず、俺を叱るようなことはしない。
薄い銀フレームの眼鏡をかるく押し上げ、白髪が所々混じっている髪をかきあげ、にこやかに笑うだけだ。
父さんと話すと気が抜けるーーー
寝坊したことへの焦りを一瞬忘れ、俺もへらっと笑い返した。
「って、まったりしてる場合じゃねー!!!
父さん行ってきます!」
「朝ご飯はいいのかい?」
「時間ねーし、いらない!」
鞄を片手に急いで靴を履く。玄関を飛び出そうとした俺は
「正紀、待って!」
と父さんに呼び止められた。
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