第1章

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「うん、そうだね。正紀のこと、母さんに見せてあげなきゃ」 優しく笑い、父さんが俺の頭を撫でる。 「.......セットしたの、崩すんじゃねーぞ」 断じて恥ずかしい訳じゃない! 別に頭を撫でられたからって、恥ずかしくもないし、嬉しくもない! 胸の奥が熱くなった気はするけど、頬が熱いのは、急いで支度をしたからであって! そんな風に心の中で言い訳をして、父さんを見上げる。 目が合うと、その目が愛おしそうに俺を見つめてるのが分かったから。 文句なんて言えなかった。 「正紀は年々、母さんに似てくるなあ」 「俺、母さんみたく美人じゃねーし。目つき悪ーし」 「目つきが悪い?何を言ってるんだ、こんなに愛らしい目をして」 でたよ、親バカ。 それは絶対に身内の欲目だと思うぜ........
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