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放課後教室で待ってて下さい。
一年生の子がそう言っていたと昼休みに友達から聞かされて、内心うんざりする。
「茜も大変だよね、流石我が校の王子様?」
「仕方無いよ。他校との繋がりも無きゃ、内に目が向くモンでしょ?」
苦笑いを浮かべながら濁すけれども、ハッキリ言うなら大変だ。
女子高なんて特殊な環境の中。男役とでもいうのか、私みたいなタイプは必然的に言い寄られ易い。
かと言って、誰かと付き合えばそれが無くなる訳でもないし。別れたなら別れたで面倒になるって事を目の当たりして来てる。
与えられたポジションをこなしながら、なるべく誰も傷付けないように。
そんな事をしている内に付いた渾名は王子様。
誰にでも優しい、頼り甲斐がある、絶対誰にも靡かない。
私は、そんな私を知らない。
孤立するのが怖くて、断り切れなくて、誰にでも笑顔を向ける。
そんな臆病な自分しか知らない。
だから、放課後教室で一人待つ間にも決めていた。
今回も上手く逃げようと――
彼女の、彩葉の一言を耳にするまでは。
「茜先輩。今日から先輩は、いろはのモノです。良いですね?」
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