腹黒王子とドM姫

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部活でパラパラと教室から消えていくクラスメートを、時折ひらひらと手を振って見送る。 「じゃ、茜!健闘を祈るっ!」 「どんな風にフッたか後で聞かしてよねっ!」 「うちら、いつものトコで駄弁って待ってるからー」 仲の良いグループの子らが、声を掛けて居なくなれば。 自然と空気を察して残ってた子らも帰り支度を始める。 告白の場に居合わせる、なんて真似は出来ないから。 空気を読むスキルはこの空間の中で必須。 罷り間違って居合わせようものなら、後日吊し上げ。 あの手この手の難癖を付けられる姿は、見ていて楽しいものじゃないけど。 誰かを特別扱い出来ない私のポジションは、ハッキリとその子を庇う事すら出来ない。 度が過ぎた時のブレーキ役程度。 そんな奴の、何が王子だ。 一人取り残された教室で、一年生の子を待つ間。 ぼんやりとそんな自己嫌悪に陥っていると、静かにカラカラと教室の扉が開いた。
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