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教室をきょろきょろと覗き込むみたいにして現れたのは。
如何にもって感じの、柔らかそうな雰囲気をしたちっちゃくて気弱そうな子。
女子高にさえ来てなければモテたんだろうな、と思ってしまうくらい。
女の目から見ても可愛らしい。
「えーっと、貴方が茜先輩ですか?」
「そうだけど、顔も知らないで呼び出したの?」
教室に一人残った私を見て、怪訝な顔をするその子に思わず少し口元が弛む。
多かれ少なかれ、私が気付かぬ内にしでかした役割内の事で告白された身としては。
ちょっと面白かったり。
「なんて言うか先輩。ガラじゃないですねっ」
少し言い淀むみたいに口元に手を添えた後に、満面の笑みで言われた台詞に言葉を失った。
「あっ、自己紹介がまだでしたね。城戸彩葉と申します、彩る葉っぱでいろはです」
焦ってみたり、にっこりと笑ってみたりところころ変わる表情に聞き間違いかとすら思うけど。
何処か演技臭くもある。
私は椅子を押し退けながら立ち上がって、城戸に歩み寄る。
頭2つは違って、本当に小さいのに。それでも怯える様子も、戸惑う様子も無くにこにこしてるのがなんでか気に障る。
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