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「ちょっと先輩の事舐めすぎじゃない?その態度」
扉を背にしたままだった城戸を追い詰めて、脅しの意味を込め勢いよく扉に片手を置く。
「わー、まさか壁ドンされるとは思いませんでしたっ。流石は王子様ですねっ」
なのに、城戸は楽しそうに笑いながら。皮肉めいた口調で向けられる台詞に苛立ちが募る。
そして、不意に。タイを掴まれて引き寄せられた。
自然と体勢が崩れて前のめりになったと同時に、唇に柔らかい感触。
流石にそれがキスである事くらいは理解出来る。
驚き固まるしか無い中で、私の反応を伺うみたいな城戸の目がニィと笑うみたいに細められた。
角度をずらした拍子に開いてしまった唇の間を温かいモノが通り抜けようとした瞬間。
城戸の手を振り払いながら後退ろうとして、自分の足に躓き床に腰から落ちていた。
「ファーストキスじゃあるまいし、そんな顔を真っ赤にしなくても良いじゃないですか?ねぇ、王子様?」
うるさいと声を上げる事も出来ずに、手の甲で唇を拭う。
なんなんだよ、小動物みたいな面して――
き、キスとか初めだっつーの!
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