腹黒王子とドM姫

7/8
前へ
/9ページ
次へ
翌日―― 「あ、茜ーっ!昨日結局来なかったじゃん!どうなったの?」 通学路での出会い頭に聞かれて思わず言葉に詰まる、だけど今更誤魔化す事も出来ないだろう。 「お友達ですか?茜先輩っ」 「きゃー!ちっちゃくて可愛いっ!あれ?もしかして、もしかして?」 反対側からおどおどとした風を装って顔を覗かせたいろはに、グループの子が黄色い声を上げてから。 私の顔をニヤニヤとしながら覗き込んで来る。 「まぁ、そういう事だから」 「ついに王子陥落かぁ、これは見物だねっ!」 他人事だと思って楽しそうに……、でも妙な目で見られないのは有り難い。 ふと、袖を引かれる感覚に気付いて彩葉に視線を落とすと。耳を貸せとジェスチャーで伝えてくる。 「最悪何か言って来る輩は私が排除しますので、遠慮無く王子ぶっていて下さい。貴方の弱い所なんて、私以外に見せたら承知しませんからね?」 ちょっと屈んで寄せた耳に彩葉の手が添えられて、こっそりと告げられる。 言い方こそ悪いけど、ちょっと妬いてくれたのと。遠回しに守ってやるって言われたみたいで、嬉しくなる。 なんて単純なんだ私。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加