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「それじゃあ御両人、後は若いモン同士ヨロシクしちゃいなっ!」
妙なテンションで手を振りながら駆けて行ったグループの子に取り残された、彩葉と並んで歩く。
「王子様も大変ですね」
ボソッと呟いた彩葉に首を傾げると。
「お友達にすら狙われてたんですから、理解の早い方で助かりましたけど」
ギィと唇を吊り上げてその背中を見送る彩葉に、思わずキュンとする。
「なんか、妬いたりするの意外だね」
「本当は昨日。貴方をからかうだけのつもりでしたけどね、王子様とか呼ばれて調子乗ってるんじゃないかと」
ナイナイと、胸の前で手を振りながら言えば。にっこりと笑いながら彩葉は。
「茜先輩が可愛いのが悪いんですよ、本気で惚れたからには、死んでも譲りません」
「私より、彩葉の方が可愛いと思うんだけどなぁ」
「っ、この……天然ジゴロ!今後は発言に気を付ける事っ!それと……他の奴に目移りする事があればお仕置きしますから」
何処までが計算か分からない、可愛らしくてふわふわした彩葉が浮かべた嗜虐的な笑み。
多分私は、当分彩葉から逃げられない。
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