2.新しい風

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九月。 託実くんが退院して、 託実くんは二学期と言う学校生活が始まった。 託実くんが退院直後に倒れた私は、 集中治療室の住人を経て、ようやく病室に戻ることが出来た。 自分の病室に戻れたのは凄く嬉しいけど、 だけど戻ってきた病室に、ベッドは一床。 託実くんが入院してくる前の、 景色へと病室は変わった。 看護師さんや、宗成先生たちが顔を出してくれるまで 人の感覚がない独りぼっちの空間。 そんな時間に戻ってしまうと思うと、 凄く怖くて、一人になることに不安になった。 賑やかな時間を取り戻してしまった私だから、 あの頃の様に全てをもう一度、 手放して諦めるのはやりたくないよ……。 そんな不安を抱いたまま、体調の良い日と、悪い日を 一進一退繰り返し続ける。 託実くんが姿を見せるのは、 放課後と呼ばれる17時頃。 16時から1時間、退院後もリハビリが入っている託実くんは リハビリを終えて、今も病室に顔を出してくれた。 そして今の私が、あの頃と違うのは お見舞いに来てくれる人が居ると言うこと。 相変わらず、家族は眠った時にばかり来ているみたいだけど それでも、最近はお見舞いに来てくれる有難さみたいなものが 少しずつわかってきたような気がした。 「理佳さん、こんにちは。  今日の調子はどう?」 ノックをして声が聞こえたのは、隆雪くん。
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