11.理佳の家族 

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「託実くんのことは、理佳の日記で知ってたんですよ。  俺も家内も、情けない親でね。  最初の頃は、毎日のように理佳の病室に顔を出してた。  だけど理佳が治療をうけてる姿を見るのが辛くてね……。  どれだけ苦しんで治療を受けていても、  理佳に変わってやることは出来ない。  見ているだけの時間に耐えられなくなって、  私は……理佳の治療費を稼ぐためだと都合のいい言い訳を自分にして  病院に行くことが遠のいていった。  家内の方はその後も、暫くは病院に通い続けてたんだけどね  理佳の前で、暗い顔ばかりするようになって  そんな顔しか出来ないなら、もう来るなって娘に言われてしまってね。  今では娘が起きてる時間には、お見舞いに行けなくなってしまった。  眠ってる理佳を眺めて、理佳が書いている日記を盗み見て洗濯物を入れ替えて帰るだけ。  そんな風になってしまった……。    だけど今年の夏頃かな。  君の名前が日記の中に登場するようになって、このベッドで眠っている子なんだなとは思ってはいたけど  こうやって逢えるとは思わなかった。  退院した後も、理佳を支えてやってくれて有難う」 そう言って、理佳のお父さんは俺に頭を下げた。 別に……頭を下げられるようなことしてるわけじゃない。 理佳のお母さんは、鞄から取り出した大学ノートを取り出す。 薄い大学ノートが、セロテープで繋げられて分厚くなっていた。 「理佳が毎日綴ってる闘病日記なの」 そう言いながら理佳のお母さんは、俺の前にノートを差し出した。 分厚いノートを受け取って、パラパラとめくる。 1日1頁。 そんな割合で綴られてる、理佳の日記。 パラパラとめくっていくと、 俺の名前が記載された頁で手が止まる。 
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