2.新しい風

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「あっ、今託実じゃなくてがっかりしたでしょ。  理佳ちゃん、表情にでやすいよねー。  アイツは今、リハビリ。  もう少しで来るよ。  SHR終わった途端に教室すぐに出ていったからさ、  此処に来るのは間違いなしだよ」 そんな風に声をかけながら、 隆雪くんはベッドサイドの私の元に近づいてきた。 そして鞄の中から取り出して、 広げるのは、歌詞らしい文章とプレーヤー。 「作ってきたの?」 「うん。  まだ思う様に作れなくて、似たようなフレーズが沢山出てくるんだけど  昨日、徹夜で何とかここまでまとめたんだ」 隆雪くんはそう言うと、 イヤホンを用意して私に差し出す。 手渡されたイヤホンを両耳にさして、ゆっくりと目を閉じると ギターの音色と、ハミングで主旋律を口ずさむ隆雪君の声が聴こえた。 「綺麗なメロディーラインだね。  えっと、思うことは沢山あるんだけど  今日はピアノの傍に行く許可が貰えてないの。  朝、少し熱出しちゃって。  このデーターって、私のPCに入れて貰うこと出来る?  いれて貰えたら、その音を聞いて思う様にアレンジは出来ると思う」 そうやって答えると、隆雪くんは嬉しそうに笑って 「PC触ってもいい?」 っと声をかけて、頷いたのを確認すると手慣れた感じで起動。 データーを移動した。 データーを移動している間に、 リハビリが終わって、病室まであがって来ていた託実は 病室前の扉横で、少し不機嫌そうに立ってた。 「あっ、託実。  悪い、理佳ちゃん借りてた。  理佳ちゃん、じゃ俺、今からギターだから。  託実、理佳ちゃんとゆっくり。  理佳ちゃん、次の日曜は俺が託実借りるから宜しく」 そんなことを言いながら、慌ただしく病室から駆け出していく隆雪くん。 「入ってくれば?託実」 視線を病室の外に向けて招き入れる。
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