12.女心と初めての贈り物 

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「曲作ってたの。  まだピアノは触らせて貰えなくて、私はベットから動く許可が出てないから。  ここで出来る作業って、ただ書くくらいだよ」 「だったら良かった」 そう言いながら堂崎さんは、鞄の中から本屋さんの紙袋らしいものを取り出した。 「はいっ、退屈してると思うからファッション誌。  理佳もちゃんと、おしゃれに気を配らないとダメだと思う。  病気を言い訳にしてたらダメなんだから。  理佳は私のライバルでしょ。  後は……これ。  テスト勉強の合間に作ったんだ。  胡桃が入ったクッキー。  胡桃が動脈硬化って言うのを予防するって書いてあったから  これだったら、心臓が悪い理佳も食べられるかなって思ったの。  もちろん、強制はしない。  今の私は、理佳が食事制限出てるの知ってるから。  だけど、これは私がライバルの理佳に作ったって言う気持ちは受け取って貰うんだからね」 堂崎さんの勢いは、私より年下のなのに姐(あね)さんみたいで 頼もしかった。 「有難う。  宗成先生に確認してから貰うね」 「うん。それでいいっ。  理佳に受け取って貰いたいのは、私の気持ちだけだから。  んでこっからが本題。  今は何月でしょう?」 突然そんな風に切り出した堂崎さん。 「えっと……二月……」 「そう、二月。  今日は何日でしょう?」 「二月の十四日」 カレンダーを見つめて、そういって答えた。
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